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- この記事はこんな方に向けて書いています
- 「ダウンジャケットを買おうか悩んでるんだけど、安くはない買い物だし、何年持つのか気になる…」
「お気に入りのダウンジャケットをより長く着たい!」
「着ているうちにダウンのボリュームが無くなってきたんだけど、これって寿命?」
ダウンジャケットは普通の服と違って、“ダウン”という中身があります。
そのため、「ダウンがどうなったら劣化や寿命といえるの?」という点がいまいちわかりづらいですよね。
こんにちは!「ダウンリユース」管理人のnomです。
アウトドアをきっかけにダウンウェアに興味を持ち、「日本繊維製品消費科学会」に入会、論文からダウンの情報を学んでいます。
コスパ系~高級ダウンまで、10着以上ダウンジャケットを購入し、日々ダウンの着こなしを楽しんでいます。
この記事では、具体的にダウンジャケットは何年で買い替えるのが良い?といった疑問についてや、ダウンジャケットの寿命を伸ばすメンテナンス方法などを解説していきます。
これからダウンジャケットを買う人にとっては何年持つのか、すでにダウンジャケットを持っている人にとってはダウンジャケットの寿命を伸ばすための方法がわかる記事となっています。
ダウンジャケットは何年持つ?→基準は3年
私は、ダウンジャケットが何年持つか?の基準は3年と考えます。
理由は以下の通り。
- ポリウレタン素材は3年で劣化するから
- 3年着用したらダウンを長持ちさせるため1度クリーニングや洗濯をするべき
- 3年着用して飽きたらダウンを買い替える
他のサイトを見てみると“3年がダウンの寿命”、と説明しているところが多いですが、それは間違いだと思います。
ダウンジャケットにも質や丈夫さ、使われている素材の寿命の差があるので、ひとまとめにして3年とするのは少し乱暴。
以下の写真は購入してから10年経つ「COLMAR(コルマー)」のダウンジャケットですが、ダウンのボリュームがキープできています。
3日に1回程度のペースで着用しており、まだまだ着られそうな感じです。
じゃあ、なんでダウンジャケットの寿命は3年って言われるの?
推測ですが、ダウンジャケットに使われる素材のひとつ、ポリウレタンが原因。
下の項でさらに詳しく説明しますが、ポリウレタンの寿命は製造後から3年です。
ただ、いくらダウンジャケットが長持ちすると言っても、3年も経てばトレンドも変わって新しいダウンジャケットが欲しくなりますよね。
なので、3年を基準にして、“まだ着ていたければクリーニング(もしくは洗濯)”、“着ることが少なくなってきたら買い替え”を検討してみると良いでしょう。
当記事では、両方のシチュエーションでその後にとるべき行動を解説しています。
早く知りたい方は、以下のリンクから各項目に飛ぶことができます。
ポリウレタン素材のダウンジャケットは寿命が短い
先ほど説明したように、ポリウレタンを素材に使っているダウンジャケットは寿命が短くなります。
その寿命は、製造後から3~4年です。
ポリウレタンを素材に使っているジャケットは、
- フェイクレザー加工
- シームレスダウン(接着部分にポリウレタンが使われる場合がある)
など。
ダウンジャケットの寿命が気になる場合、これらはおすすめしません。
なぜ、ポリウレタンは寿命が短くなるの?
加水分解という現象が関係しています。
加水分解とは、空気中の水分(湿気)に反応して劣化してしまう反応のこと。
加水分解が起こると、生地の表面がボロボロと崩れてしまい、汚い印象になってしまいます。
例えば以下の『ポリウレタンの劣化と安定化』という論文では、ポリウレタンの寿命が短くなる理由のひとつに加水分解があるとして説明しています。
特にエステル系PU(ポリウレタン)はエーテル系PUより耐摩耗性,力学特性に優れているため靴底,合成皮革などに使用されることが多くスキー靴や紳士靴が使用3~4年で破壊する事故が比較的頻繁に生じているが,この原因の1つに加水分解があげられる。
出典:秋葉光雄.『ポリウレタンの劣化と安定化』.2004/06/01
加水分解が引き金となり,エステラーゼ,リパーゼなどの活性な微生物代謝酵素(かび)によってエステル基が分解されることとなり,相乗的に劣化が速まる。
モンクレールなど、高級ダウンジャケットの寿命は長め
- 高級ダウンの寿命が長くなる理由3つ
- 生地そのものが丈夫
縫い合わせが丁寧で、ほつれが出にくい
高級なダウンであるほど羽抜けが少なくなる
ダウンのボリュームが減ってしまう理由のひとつに、“羽抜け”があります。
羽抜けとは、ダウンジャケットの縫い目から羽が抜けてしまうこと。
羽抜けによりダウンの量そのものが減ってしまうので、ボリュームが減るというわけです。
羽抜けを100%防ぐ手段はありませんが、羽抜けしにくいジャケットはあります。
それが、モンクレールなどの質の高いダウンを使用しているダウンジャケットです。
高級ダウンに多く含まれるスモールフェザーには、柔らかく羽抜けしにくいという特徴があります。
ダウンに混入されるフェザーは、大きさによって2種類に分けられています。
- ラージフェザー:一般的なフェザー。軸が硬く、ペラペラと平面的な形。
- スモールフェザー:サイズが6.5㎝以下の羽。小さく、フェザーの中では比較的柔らかい。少し丸まったような形。
フェザーってなんだったっけ…?
フェザーとは、軸のある硬い羽のこと。
「羽」と聞いて思い浮かべる形をしています。
対してダウンは、タンポポのような軽くて柔らかい羽毛。
ダウンジャケットにはどちらも混ぜてパックされています。
また、高いダウンなのに(羽抜けが原因だとは考えられないのに)ボリュームが減ってきたと感じた時は、ダウンが汚れてヘタってきていると考えられます。
その場合は、クリーニングに出すと復活するかもしれません。
クリーニングについてはこちらで詳しく書いています。
ダウンジャケットの寿命を見極めるポイント
- ジャケットから羽がよく出てくる
- 明らかにダウンのボリュームが減っている
- ジャケットが薄くなって暖かく感じなくなってきた
- ジャケット生地に色落ち・すり切れ・加水分解などの痛みがある
ジャケットから羽がよく出てくるようになると寿命は赤信号です。
羽がよく抜けるのは縫い目や接着面がゆるんできていると考えられ、こうなると次々に羽が抜けてジャケットが薄く、暖かくなくなっていきます。
また、明らかにダウンのボリュームが減っているときも要注意。
羽に汚れが溜まっていたり、先述したように縫い目のゆるみから羽が抜け落ちている可能性が高いです。
上記のような症状はクリーニングや修理に出しても完全には元の状態に戻らないので、買いかえを検討する頃合いでしょう。
ダウンジャケットの寿命を伸ばすお手入れ方法
ダウンジャケットの寿命を伸ばすには、普段からのお手入れが重要。
この項では、ダウンジャケットの寿命を伸ばすためのお手入れ方法をまとめました。
- ダウンの寿命を伸ばすお手入れ方法4つ
- 多少の汚れは薄めた中性洗剤でふき取る。
羽毛が飛び出したら逆から引っ張って戻す。
ふんわりと圧をかけないように保管。
生地のしわをとりたい場合はアイロンを使う。
多少の汚れは薄めた中性洗剤でふき取る
首もとや袖口などの汚れが気になる場合は、部分洗いで十分。
中性洗剤をうすめてタオルやスポンジに含ませ、よく拭きます。
汚れが取れたら、洗剤が残らないようにしっかりとふき取りましょう。
頑固な汚れはベンジンを使うと取れる可能性がありますが、素材によって相性があるので要確認。
ベンジンはホームセンターや一部薬局で取り扱いがあります。
ライター用と染み抜き用があるので、しっかりと染み抜き用を選びましょう。
羽毛が飛び出したら逆から引っ張って戻す
縫い目から羽毛が飛び出したら、逆から引っ張ってジャケットの中に戻してあげます。
飛び出した羽を見るとついつい抜いてみたくなりますが、引き抜くと絡み合ったダウンが芋づる式に抜けてしまうのでNG。
慣れるまで少し難しいです…。
ダウンは縫い目から飛び出すので、どの位置のダウンパックから出ているかを確認しながら行います。
上手く引き戻して、ダウンのボリュームを保ちましょう。
ふんわりと圧をかけないように保管する
ダウンを使った服で気にかけておきたいのは、羽毛をつぶさないこと。
クローゼットにしまう際の保管方法は、とにかくダウンをふんわり、ふっくらとさせた状態にしておくことが大切です。
理想はハンガーにつるして、風通しの良い直射日光に当たらない場所で保管。
外から帰ってきたら、すぐにハンガーにかけましょう。
ハンガーにかけておくことで、充填されたダウンが偏らなくなり、型崩れを起こしにくくなります。
ハンガーは肩を支える部分が太いものを選ぶと、より型崩れを防止できます。
さらに、普段着用するとき摩擦を減らすようにしてみると、羽抜けや痛みを軽減することができます。
例えば、肩掛けのカバンやリュックなどを避けたり、インナーにセーターではなく、サラサラとしたシャツを選んだり。
生活スタイルによっては実践するのが難しい工夫かもしれませんが、覚えておいて損はないでしょう。
ダウンジャケットのしわをとりたい場合はアイロンで
しわが気になる場合は、アイロンを当てて対応します。
アイロンを使う際は、以下の点に注意しましょう。
- 当て布を使う
- アイロンの温度は低温で
- 同じところに当て続けない
ジャケットの素材によってはアイロンを当ててはいけないものもあるので、洗濯タグは要確認です。
高級ダウンジャケットのクリーニングは専門業者へ依頼
ダウンジャケットを長期間にわたって着用していると、徐々に中のダウンに汗や皮脂が溜まっていきます。
そうした汚れが溜まるとダウンが重くなってしまい、ふんわりとした“かさ”が減る原因に。
かさが減るとダウンが保持できる空気が少なくなり、ダウンが本来持っている断熱性を損なってしまいます。
補足
ダウンジャケットが暖かい理由は、熱伝導率の低い“空気”をたくさん保持できるから。
空気をキープすることで外の冷気を伝えず、中の熱を逃がさないので、快適な暖かさを保ちます。
「なんとなくダウンの暖かさを感じにくくなってきたな…」と感じたら、1度クリーニングに出し、中に溜まった汚れを落としてみましょう。
クリーニングによってダウンから汗や皮脂を抜くことができれば、しぼんだダウンも復活する可能性が高いです。
ダウンをクリーニングに出すときは、普通に近所のクリーニング屋さんでいいの?
大丈夫ですが、高いダウンは避けた方がいいかもしれません。
ダウンには、元々重量に対して1%ほどの油脂が含まれています。
ドライクリーニングに出すと本来必要な油脂までとってしまい、柔らかさがなくなったり、耐久性を損なう可能性があります。
失敗したくないなら、少々値は張りますがダウン専門のクリーニング店に依頼する方がいいでしょう。
クリーニング満足度No.1!ダウン50000着以上の実績あり
また、クリーニングに出すと、どうやってもダウンはダメージを受けるということを理解しておきましょう。
つまり、洗うたびにダウンのボリュームは少しずつ減っていくものです。
ダウンに精通した職人のクリーニングであってもそれは変わりません。
定期的なクリーニングはダウンの寿命を長くしますが、明らかにボリュームがなくなってきたな、と感じてから出すようにすればOKです。
ダウンジャケットを洗濯するときのポイント
クリーニングは値段が張るため、「ダウンジャケットにそこまでお金はかけられないな…」と感じる人もいるでしょう。
そんな時は、自力で洗濯してみるのも1つの手です。
洗うたびにダウンの性能が落ちてしまうため、あまり頻繁に洗うのはおすすめしません。
気になるニオイを感じたり、汚れが目立ってきてからで十分。
毎日ヘビーに使っているのでもなければ、3年に1度ぐらいのペースで洗濯していればOKです。
ダウンジャケットの洗濯手順
用意するもの:洗濯おけ、ダウン用洗剤(無ければエマールなどの中性洗剤でOK)、ぬるま湯、撥水スプレー
- ダウンジャケットにキズや破れがないか確認する(あればリペアシートなどで修復)。
- フロントやポケットのジッパーを全て閉じておく。
- 洗濯おけにダウンがひたるぐらいのぬるま湯を入れて、濃くなりすぎないよう様子をみながら洗剤を入れる。
- ジャケットをたたみ、ダウンのふくらみをつぶすようにして丁寧に空気を押し出す。
- 空気を押し出した状態のジャケットをぬるま湯につける。しっかりと湯が行きわたるようにさらに空気を押し出す。
- 押し洗いをする。軽く押す程度でOK。
- すすいだら、桶を傾けてゆっくり水を抜き、ジャケット内の水が自然に抜けるのを待つ。
- ジャケットを軽くまいてさらに水分を押し出す。再度ジャケットをすすぎ、水が濁らなくなるまで7~8を繰り返す。
- ジャケットのジッパーを開けた状態で脱水へ。洗濯機のドラムに沿わすように置くと効率よく脱水できる。
- 撥水スプレーを塗布する(注意:スプレーによっては乾燥後に塗布するものもあります)。
- 乾燥機で乾燥させる。
- ダウンのボリュームを損なわないようにハンガーなどにかけて保管。
洗濯時には、以下の注意事項を守りましょう。
- 洗濯時の注意点
- 洗濯できないジャケットもあるのでタグを確認すること。
リアルファーがついているものは洗濯できない。
強い洗浄剤はNG。ダウンに残っている皮脂をとり過ぎても柔らかさがなくなり、かさ高や耐久性に影響が出る。
自信が無ければクリーニングに持っていくのが無難
寿命が来てしまったダウンジャケットの捨て方
ダウンジャケットが加水分解でボロボロに!捨てるときはどうすればいいの?
ダウンジャケットは、基本的に燃えるゴミです。
ファスナーなどの金属部品があれば切り分けて、そちらは燃えないゴミで出しましょう。
ただ、捨てるぐらいならリサイクルに出してほしいというのが正直なところ。
世界的なダウン需要の高まりにより、生きた水鳥からダウンが採取されている現状もありますからね。
羽毛(ダウン)の寿命はジャケットより長い→リサイクルへ
ジャケット本体よりも、素材としてのダウンの寿命はさらに長く、10~15年は使えます。
ダウンは長寿命な素材であり、長年の着用で皮脂や汚れが付着したダウンでも、洗浄することで何度も使うことができるのです。
ダウンのリサイクルをおすすめする背景は、ダウンの原料となる水鳥を守ることにあります。
ダウンの多くは食肉用の水鳥から採取されていますが、ダウン需要の高まりもあり、羽毛の採取のみを目的として生きている水鳥から採取されることが問題視されています。
生きてる鳥から羽をむしってる…、寒くなっちゃってかわいそうだね。
ダウンのリサイクルってどうやってできるの?
一般社団法人「Green Down Project」が、ダウンの回収を行っています。
回収場所は全国のショッピングモールに入っているセレクトショップやアウトドアショップ。
回収対象となるのはダウン率が50%以上のダウン製品ですが、ダウンジャケットならクリアしているものが多いはずです。
他にも、回収対象となるダウン製品には多少の条件があります。
以下より確認してみてください。
- 「Green Down Project」回収対象となるダウン製品
- ダウン率50%以上
穴が開いているダウン製品
汚れているダウン製品
- 「Green Down Project」回収対象とならないダウン製品
- ダウン率50%以下
ダウンが濡れてしまっている製品
出典:Green Down Project
「Green Down Project」のダウン回収場所は、こちらから確認してみてください。
また、ユニクロでも、自社で販売されたダウン製品を回収する取り組みが独自に行われています。
出典:ユニクロ ダウンリサイクル
ユニクロ各店舗にはダウン製品の回収ボックスが設置されています。
もしユニクロのダウン製品を利用しているなら、そちらも検討してみて下さい。
リサイクルが面倒なら、買取という選択肢もおすすめです。
ブランド物のダウンジャケットなら、高く買い取ってくれることも多いですよ。